2008.04.22

光野桃「スピリチュアル デトックス」

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光野桃・著「スピリチュアル デトックス」

光野さんが書く文章は美しく、そして、彼女が思うこと、感じ方が自分とよく似ていることに驚きながら読むことが多い。

しかし、この本は読むかどうかは悩みました。「スピリチュアル」という言葉に、私はアレルギーがある。なんか怪しい、騙されているような感じがする。。。

けれども、光野さんは、バーレーンでの生活、お母様の在宅介護、看取り、そうした精神的に辛い時期を癒しの力を借りてなんとか乗り切った。そんな光野さんにとって、この本を書くことは必然だったのかもしれません。だから読んでみました。

内容は、日本とインドの旅が半々。インドの話はインドが好きでないと面白くない。私はたぶんインドには行かないと思っているから(光野さんふうに言うと、”インドからお声がかからない”)、残念だけどあまり興味が持てなかった。

一方、国内。伊勢神宮、沖縄九高島、山岳信仰などなど、古来の日本文化については興味深く読みました。神社の類は好きだったし。

職業の特権というのだろうか、彼女は多方面の癒しのプロの人たちと出会っていて、本にはその人たちからの教えが書かれているので、読者はその教えを共有することができる。以前の私ならばほとんど信用しなかったけど、少し信じられるようになった。

頭と体は一緒。頭だけ、体だけというのはありえない。私も最近そういう方面で信じられる人と出会った。彼女は私の手をマッサージしただけで、私が抱えている体の状態を当ててしまった。理由を教えてもらい、勘やデマカセではなく、科学的、医学的な根拠があるんだと判った。

ところで、本で紹介されている癒し。シンキングボウルはやってみたいな。

それに、本で知って行こうと決めて既に予約してしまった場所があります。母と一緒に行く予定。どこに行ったのかは、帰ってきてからブログに書こうと思っています。

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2008.03.08

血液型についてのある考察

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Jamais Jamais・著 型自分の説明書

私はB型です。

自慢しているわけでも、隠しているわけでもありません。けれども、血液型を明かすのは、なぜか気恥ずかしく、もしかしたら他人の私の見方を180度変えてしまう危険性もはらんだことであるかもしれません。

自分自身血液型で性格を決め付けられるのは願い下げだし、周りの人たちを、「○型の人は○○な人である」という血液型のフィルタにかけて見るということもしたくありません。

しかし、「B型自分の説明書」。あてはまると思われる項目にチェックしながら読みました。

チェックの数は数えていません。設問が多いので、まったくチェックしなかったページ、ほとんど全てチェックしたページ、さまざま。なーんとなく、1/3くらいはチェックが付いたような感じがします。

って、こうして数えること自体面倒くさい、なんとなく、で済ませてしまうのかもしかしたらB型なのかもしれません。。。

この本で当てはまるなと思った主な10個をピックアップ。

 ①集団行動の中でひとりふらふら散歩したりする。

 ②話が飛ぶ。

 ③目標まで突っ走る。達成しちゃえば後はおざなり。

 ④詰めが甘い。

 ⑤人の話聞かない。他人情報はどーでもいい(家族構成とか)。

 ⑥あまり人になつかない。でもなつくと、とことん。

 ⑦「ふーん」「あ、そーなんだ」「へぇー、すごいね」ってよく言う。

 ⑧カミナリとか、空の色がまがまがしいとワクワクする。

 ⑨地味でめんどうくさい作業を楽しめる。

 ⑩筆記試験の時、見直しするけど途中で飽きる。あとはもう自分の実力にまかせる。

むらっ気ありますね。やる時きゃやるけどその後はやりっぱなしまたは忘れる、聞いているようで聞いていない、興味があること以外は無に等しい、子供みたいだ。。。なんだか、人間性に欠陥があるような気がしてきました。

この本にありましたが、昔はよくA型と言われました。自分で書くのもなんですが、神経質で真面目で几帳面。それは育った環境によったと思います。B型、というと、全くそんな感じしないとよく言われて、血液型がどれほどのものなのか、と思ったものです。

しかし、大人になってからはB型でしょ、と言われるようになりました。自分にとってイヤなことや興味がないことを覚えていないからなのだそうです。「そんなの覚えてない」というと、「ね、B型でしょ」と決まって言われて。やはり、血液型がどれほどのものなのか、と思ってしまうのですが。。。

育った環境の制約から解放され、本質が表にでてきたということかしら。人間、大人になるほど、本質が見えにくくなるのに。。。

さて、面白いことに、この本、B型向けしかありません。筆者がB型だからでしょうが、密かにヒットしているようなので、もしかしたらA型やO型などの二番煎じ本が発売されるかもしれません。

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2008.03.02

夢をつかむイチロー262のメッセージ

忙しくてブログを更新せずにいたら、3月になっていました。

今月後半には桜が咲く。一年で一番好きな季節。

桜、さくら、サクラ。全てが桜を中心に回りだし、気もそぞろで落ち着かない、楽しみな季節なのだけれど。。。

今の心境。

行ったり来たり。

大丈夫、そんなの無理。なんとかなる、やっぱり無理。仕方ない、なんでこんなこと?

心の持ちよう。振れ幅が大きくて不安定。何をしても気分が晴れないのは久しぶりです。

そんな時、「夢をつかむイチロー262のメッセージ」を読みました。

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メジャーリーグ挑戦後のイチローの発言をまとめた本。昨年、キャリアセミナーを受けた時、講師の先生が推薦していた本でした。

講師の先生は、この本を読んで、それまでは「若造が何を言うか」と嫌いだったイチローが好きになり、興味がわいた。「彼は天才ではなく秀才だ」と話していました。

本は、「イチローの精神と目標」「イチローの準備と訓練」「イチローの不安と逆風」「イチローの形と野球観」「イチローの技術と結果」のテーマでまとめられており、彼の考え方の筋道が見えやすい構成になっています。

頭が上がりません。

人はこれだけストイックに好きなことに打ち込むことができるのだ、自分を知りしっかりと準備し、他人の評価など気にしない彼の強靭な精神に、今の自分の気持ちのありさま照らしてみる。例えば、

 「キライなことをやれといわれてやれる能力は、後でかならず生きてきます」

凄い。でも痛い。素晴らしい言葉だけれど、気持ちがちぢこまっている時に読むとズドーンと落ちる。

イチローのメッセージを夢をつかむ力にするには、少し時間が必要みたい。って、また、進歩ない。

ちなみにこの本、知人は元カノからもらったそうです。知らずに読んで、「さすがは俺の元カノだ」と惚れ直したのだそう。

(どんな意図があって彼女がその本を贈ったのかはわかりませんが。。。)

プレゼントするだけで自分の格を上げてくれる?それはどうかとしても、ビジネスにも役立つ良い本だと思います。

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2008.02.25

光と風とぬくもりと

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増山均+菱沼洋一・おひさま保育園【著】「光と風とぬくもりと」

母の同窓の友・菱沼洋一さんが写真を撮ったということで、送られてきたそうです。母の薦めで読みました。

一つの漢字をキーワードにして、日々の子育てと私たちの暮らしを見つめ、見直し、問い直す視点を提案。

やさしい気持ちがたくさん詰っている本でした。

旬・育・間・待・候・雑・命・手・火・風・米・便・居・縁・忙・尊・幻・浴・気・継

これらの漢字の意味、知っていますか?

例えば、「」。

育というと、一番はじめに思い浮かぶ言葉は「教育」。家庭教育、通信教育、情操教育、、、教育が付く言葉がたくさん思い浮かぶ。

けれども、「育」は「教育」だけではなくて、「養育」、「遊育」、「訓育」、たくさんの内容がある。

特に、「養育」の大切さを見逃さないこと。それは、「食」と「睡眠」と家庭の「雰囲気」。

私たちは、それらが子供にとって本当に心地よいかを問い直す。

子供が学校に通うランドセルの中は勉強道具だけじゃない。教育の場面で先生の話に集中し学習に取り組むための意欲、活力、安心感がはいっているかが大切。それをはぐくむのが「養育」。

また、「」。

子供たちにはゆとりが無い。

時間をかけて調べ、考え、語り、想像し、味わい、納得し、そしてまた新たな疑問を持つ。

それは、「間」がなくてはできないこと。

など。これらはほんの一部です。

子供がいてもいなくても関係ない。

例えば、「間」。だから、今の子供たち、いや大人もかな、自分で考える、ということが苦手になっているのかもしれない、と思ったりします。

「品格」本が巷に溢れていて、「○○の品格」というタイトルを見ると、またかと思いますが、この本は、それとは違う。既に知っていることと言えばそうだけど、子どもという対象を通して問い直しているので、素直な気持ちで読むことができます。

そして、菱沼さんの白黒の写真がいい

優しく温かいまなざし。子供とはこんなに表情豊かなのだろうかと、見ていて心が温かくなります。

菱沼さんのご家族の事情は母から聞いていて、とても厳しい境遇であるのに、どうしてもんなに穏やかな写真が撮れるのでしょう。。。

私は人物写真は構えてしまって、菱沼さんのように子供たちの表情を捉えられません。だから、いつか、こんなに優しい人物写真をいつか撮ってみたい、です。

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2008.02.11

ウェブ時代をゆく

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梅田望夫・著「ウェブ時代をゆく」を読みました。

彼の本は「ウェブ進化論」以来です。

昨年、一昨年、Web2.0、Google関係の本がたくさん出版されていて、正直食傷気味。だから、この本も読もうかどうか考えましたが、ネット社会のこれからの生き方の1つの指針を示すもの、という新聞書評を見て読んでみました。

「リアルの地球」と「もうひとつの地球」。ウェブ進化という大変化に直面している私たちの時代は、

 一生にして二生を経るが如

と、福沢諭吉の「文明論之概略」の言葉の引用ではじまります。

「距離」の制約を感じない、情報は瞬時に伝わり「時間」の制約もない、「無限」大の人や情報へアクセスできるネット空間。あらゆる制約がなくなった「もうひとつの地球」をどう生きるか。。。

第一章のGoogleの存在に関する復習はそこそこに、二章以降へ。

二章以降、これからのリーダーシップの在り方(二章・新しいリーダーシップ)、好きの極め方(三章・「高速道路」と「けものみち」)、好きの探し方(四章・ロールモデル思考法)、ネット空間の使い方(五章・手ぶらの知的生産)、働き方(六章・大組織vs小組織)、リアルとネットの間の職業(七章・新しい職業)、そして、まとめ(終章・ウェブは自らを助くる者を助く)、へと続いていきます。

読んでみて、ウェブ時代は、好きを極める、信用するという、極シンプルな生き方の時代と思いました。

自分の「好き」にこだわって、それをとことん追求する(筆者は「人生をうずめる」という言い方をしている)こと。そんな人に対してネット空間は無限の資源を提供してくれる。

しかし、そこでは成功=お金が儲かる、ではないんですね。「経済」<「知・情報」。「経済」的に成功することは、この本でも書かれていません。

私が参考になると思ったのは、筆者の好きの見つけ方。好きなことや向いていること探しを、自分の内に問うのではなく外界に求めること。膨大な情報を集め直観力でロールモデル(お手本)を選び続けていくこと。

漠然としたところから、部分的でもいいから「ある対象に惹かれた」直感を何故かと問いかけ、また、「次の対象」を直感的に選び何故と問いかけ、具体化していく。

このことは、今の仕事にも、これからの生き方にも応用できると思いました。

書かれていることはさほど新しくはないですが、このことだけでも読んだ甲斐がありました。

好きこそ原動力。それこそサバイブする力。ウェブは自らを助くる者を助く。オプティミズムに満ちて嫌いではない内容でした。

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2008.01.13

おひとりさまの老後

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知人に薦められて、上野千鶴子著「おひとりさまの老後」を読みました。

今の世の中、男性よりも女性のほうが長生きする。未婚のおひとりさま、死別のおひとりさま、いろんな女性のおひとりさまが存在する。誰でも最後はひとり。私の母も立派なおひとりさまだ。

 どこでどう暮らすのか、

 誰とどうつきあうのか、

 おカネはどうするのか、

 どんな介護を受けるか、

 そして、どんなふうに「終わる」か。

上野千鶴子さんらしく、時々辛辣な言葉も交えて、考えておくこと、準備のための行動、立ち向かうべき世の中の不条理などが綴られています。

上野さんは強い方だからこんな考え方や生き方ができるのだろうし、彼女のようには考えられない生きられない女性もいるでしょう。

また、私が老後を迎える頃は、きっと今とは社会状況や法律も違っているでしょう。

だから、これは上野千鶴子流のひとつの考えとして参考にすればよい。

この本の中で友人関係がどれだけ大切であるかを再認識しました。

家族は、死別、独立などやがて去っていく。仕事も仕事仲間もいつかいなくなる。その後に残るのは友人たち。

このことは社会状況が変わっているであろう私の老後でも、きっと変わらずに同じであり続けているでしょう。

前にキャリアセミナーを受けた時にも、講師が、人生のリスクマネジメントの3要素(お金、時間、友人(人間ネットワーク))の1つとして、大切なものだと話されていました。

そして同様に、その友人関係にはメンテナンスが必要であることを強調されていました。大切なものこそメンテナンスが必要なのだと。

だから、今年の私の目標の1つは友人関係のメンテナンス。ちゃんと時間と作って友人たちと向き合いたいと思っています。

最後に、どう「終わる」かについて。

「死に方」と「生き方」は同じ。ひとは生きてきたように死ぬのだそうです。

東京都監察医務院に勤務する監察医・小島原将直さんの公演録に、高齢者にすすめるアドバイスがあるということで見てみました。

1.生を受けた者は死を待っている人。よって独居者は急変の際早期発見されるよう万策尽くすべし。

2.皆に看取られる死が最上とは限らない。死は所詮ひとりで成し遂げるものである。

3.孤独を恐れるなかれ。たくさんの経験を重ねてきた老人は大なり小なり個性的である。自分のために生きると決意したら世の目は気にするな。

4.巷にあふれる「孤独死」にいわれなく恐怖を感じるなかれ。実際の死は苦しくないし、孤独も感じない。

5.健康法など頼るな。

ここでも、友人を含め、人的ネットワークをいかに作っておくことが大切だと言っています。友人がセイフティネットワークであると。

私の老後はまだ先のことだけれど、今から準備をしておいて損なことはない。ちゃんと自分を設計し、その時に選ぶことができる立場にしておきたいと思います。

結婚しようがしまいが、向き合うべき将来の準備として、今の自分の立ち位置を見直す上で参考になりました。

この本、次は母に貸すことになっています。読み終わった後で、母とどんな会話になるかしら。。。

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2007.07.14

買ってはいけない。

梅雨の真っ最中の台風襲来。そのせいで、せっかくの3連休が残念なことに。。。

明日の日曜日は横浜港の花火大会ですが開催は難しそう、と思ってHPを見たら今年は中止で順延も無しとのこと。こちらも残念ですね。。。

私も遊びに行く用事をキャンセルして、家の中でおとなしく過ごすことになりそうです。

遊ぶとしても、友人を招いてご飯を食べるくらいかしら。。。

ということで、竹川美奈子・著「投資信託にたまされるな!」という本を読み始めました。

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ボーナスの運用やその他いろいろあり、どうしようかなと思っていた時に、新聞でこの本が紹介されていました。

 人気の投資信託の中の要注意商品からはじまり、

 金融機関に言われるままにならないようにする知恵、

 どんな投信をどこで買えばいいのか、

などが、図表や絵を多用して解りやすく書かれています。

なるべく早く決めなければならないので、全てを読む時間がなければオススメの投信の章だけ読もうかなと思っていたのですが、3連休お天気が悪そうなのできちんと読む時間を持つことができそうです。

ただ、当然ですが、本に書いてあることを全て信用するということはせずに、その他の情報も加えて、最終的には自分で判断しなければなりません。

とは言っても、頭では理解して、さぁはじめようと思ってはいても、さていつからどのくらいはじめようかは、いつも悩みます。やめる時もそうですが。。。

さて、まずは頭で理解できるよう、続きを読もう。。。

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2007.06.25

伊坂幸太郎「ラッシュライフ」

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ずっと前に読んだのですが、なかなかレビューを書くことができませんでした。最近、考えをまとめるのがヘタになったような気がします。。。

ということで、思い出しながら「ラッシュライフ」のレビューを。

一度読み終わった時に、やられた!と思いました。途中読みながら、薄々感じていたのですが。。。

だから、読み終わってすぐに、二度目読み。それでスッキリしたのでした。

話は、泥棒を生業とする黒崎の話、父に自殺されて神に憧れる河原崎という青年、不倫相手との再婚をたくらむ女性カウンセラー・京子、職を失った豊田、そして、冒頭とラスト志奈子と画商の戸田の話が別々に展開されていき、ラストにはそれそれがピッタリと1つの話になります。

読み始め、各エピソードの時間差を考慮しなかったから、だから、なんかヘンな感じがしたのです。

そう、時間軸がバラバラな5つの話でした。

でも、全くバラバラというわけではなく、エピソードが他のエピソードにバトンを渡しながら続いていく。

だから読み終わって、やられた!と思ったのです。

しかし、ただひとつ、人体解体、バラバラ死体のくだりだけはダメ。リアルでちゃんと読めませんでした。。。

さて、泥棒兼探偵(兼カウンセラー?)の黒崎は、井坂幸太郎の小説によく登場します。はじめに読んだ「フィッシュストーリー」にも、「オデュポンの祈り」にも、まだレビューを書いていない「重力ピエロ」にも出てきて、その独特なキャラクターがとってもいい。

黒崎ファンは多いらしいですが、私も井坂幸太郎の話の中の彼のスタンスというか、立ち位置がとてもいいと思っています。

また、この話の冒頭に、エッシャーの「上昇と下降」という騙し絵が出てきます。城の上を行進する兵隊は上っているのか降りているのか。。。

そして、よく見ると、離れて兵隊の行進をしたから見上げる兵隊がひとり、また、行進など見ずに階段にちょこんと座る兵隊がひとり。

それらが、この「ラッシュライフ」のストーリー性と合致しているような。。。

最後に、ラッシュライフとは

lash:鞭打つこと、遊び、激しく動かす、金などを濫費する

lush:豊富な、景気のいい、華麗な

rash:無分別な、軽率な、せっかちな

rush:突進する、殺到する、むこうみずに行動する

ラッシュを意味する英語はこの4つ。ここから話がはじまりました。

読み終わってどれも当てはまるようだけれど、作者は以下の言葉で締めくくっています。

 ラッシュライフ---豊潤な人生。

そう、人生は、ゆたかで面白くあれ。

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2007.05.08

光野桃「おしゃれのベーシック」

Img_5551_2光野桃さんが書く文章が好きです。

文体が美しくて、私がもし本を書くならば、光野さんのような文章を書きたい。

出会いは愛読している「Vingtaine」。毎月彼女がコラムを書いていました。

その後、彼女が書いた本を何冊か読み、<お洒落>を学びました。

彼女の本は、<お洒落>は表面を装うことだけではなく、その人の<生き方>でもあると教えてくれました。

彼女の本には、女性が抱えるであろうお洒落の悩みが書かれています。

全女性ではないかもしれませんが、少なくとも、彼女の悩みや迷いは、私の悩みや迷いと重なりました。

例えば、服は沢山持っているけれど、いざというとき着る服に困ってしまう。クローゼットを見て途方に暮れる。。。

気分が重いときには黒で無難にまとめてしまう。自分にあった髪型が見つからない、、、etc。

まるで私だ、と思い、ああ、彼女のような人でも悩むのだな、読んでいて何故かほっとしたような気持ちにもなりました。

そして、悩んで迷っておしまいではなくて、ちゃんとそれに立ち向かうための方策も示してくれます。その手本は、かつて彼女が暮らしたミラノのマダムだったり、パリでみかけたマダムや日本でみかけたアジアからの留学生だったり。

もっと若い時に、例えば、高校生や大学生の時に彼女の本と出合っていたら、もっと違う道を選んでいたと思う。それ程、彼女が書く本は私のバイブルになっています。

さて、この「おしゃれのベーシック」は、彼女の夫の赴任先・バーレーンから帰国した後で書かれた初めての本です。

数年ぶりの本でしたが、その美しい文体は変わらずに、また彼女の本が読めることを嬉しく思います。

バーレーンから帰国して一番目の本は、<ベーシック>にこだわった本。

変化していく自分や時代の中で、「定番」をどうやって見つけるか、という個々人に向けた視点。

一方で、時代が変わっても変わらずに存在し続ける「ブランド」の<背骨>に向けた視点。

ブランドに浮かれることなく、自分の定番を知り、永く自分に添ってくれるようなブランドを見極めていこう、そんな意欲が感じられます。

光野さんらしくて、とても心地よく読ませてもらいました。

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2007.05.03

伊坂幸太郎「オーデュボンの祈り」

Img_7344今年のG.W.。後半は予定していた旅行が無くなったため、風邪気味でもあるし、東京でのんびり、ゆったりとなりそうです。

さて、「フィッシュストーリー」に刺激されて、早速アマゾンで「オーデュボンの祈り」「ラッシュライフ」「重力ピエロ」を購入。

古い順番に、まずは「オーデュボンの祈り」を読みました。

<超>面白くて、一日で読破。

しかも、2度読みまで。

はじめは、この話の主人公・伊藤と同様、全くワケがわかりませんでした。

現代の鎖国の島・荻島、未来を見通す喋るカカシ・優午、嘘しか言わない元画家・園山、人殺しが認められている・桜、etc。他にも胡散臭い人たち。

未来を見通すカカシが殺されたところから話は展開していきます。未来を見通せたはずのカカシが何故殺されたのか。。。

 ・カカシは殺されることを知っていたのか?知らなかったのか?

 ・この島に欠けているものは何なのか?

私は主人公・伊藤になって、その島の人たちに話を聞いて廻っている、そんな感じ。まるでロールプレイング・ゲームです。

あまりにも現実を超えていて、伊藤と同様に、途中から、もうどうでもいいやと思ってしまう。けれど、それが意外と心地よい。

はじめは断片でしかなかったものが、どんどんつなぎ合わさっていく時の高揚感たらありません。なんて上手く出来ているのでしょう!

ラスト、この島にかけているものが判った時は、ハレルヤ!です。

1度読んで全てが判ってから、どうしても確かめたくてすぐに2度読み。すると、キーワードがたくさん隠されていたことに気づくのでした。

はじめからみんな<役割>を持っていて、何か大きな力に突き動かされるように、知らぬうちにそれを実行していた。150年も前から準備されていたと思うと凄いものがあります。。。

タイトルの意味「オーデュボンの祈り」とは、カカシの祈りでもあったのですね。。。

調べてみると、ジョン・ジェームズ・オーデュボン、リョコウバトの話、支倉常長、は実在の話でした。しかし、荻島は、シマダスで調べてみましたが見つかりませんでした。こちらは架空の島のようです。残念。

実在したならば、伊藤と田中が見張り台の上から見た荻島の夜の景色を見てみたかった。。。

「オーデュボンの祈り」は、読書の面白さを久しぶりに感じさせてくれた最高の作品でした。

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2007.05.02

伊坂幸太郎「フィッシュストーリー」

Img_7011 久しぶりに伊坂幸太郎の本を読みました。

フィッシュストーリー

 「動物園のエンジン」
 「サクリファイス」
 「フィッシュストーリー」
 「ポテチ」

4つの中短編小説で構成されています。

本のタイトルになっている「フィッシュストーリー」。

読み終えて、本の帯にある”時空を超えて奇蹟を起こす”の意味が判りました。

20数年前、現在、30数年前、10年後、と時間を行ったりきたりしながら続いていくストーリー。それが全て、「人を救う」というキーワードで繋がっている。

30数年前、売れないバンドがラスト1曲でレコーディングした「フィッシュストーリー」が、ハイジャックから乗客を救う現在の青年を誕生させることになるカップルの20数年前の出会いとなり、ハイジャックで救われた女性が10年後にネットワークのセキュリティを突いた犯罪から世界を救うことになる。

人が行うことの全てには意味があって、そのひとつひとつがちゃんと繋がっているんだ、と思わせてくれます。

正義の味方というと鼻白んでしまうけれど、ハイジャック犯をこらしめる瀬川はまさに<正義の味方>。「お礼は父に」、という彼が最高にかっこよかった。

「僕の孤独が魚だとしたら・・・」「僕の勇気が魚だとしたら・・・」「僕の挫折が魚だとしたら・・・」。この繰り返しも効果的に使われていました。

けれど、個人的には「ホテチ」が一番好き。淡々としていて最後にホロリ、とさせる話に私は弱いのです。

のんきな空き巣狙いの青年・今村。けれど、彼が抱える悩みは大きい。

彼は母親と自分の血液型から、自分が母親の本当の子供ではないことを知ってしまう。

調べた結果、生まれた病院で赤ん坊の取り違えがあり、母親の本当の子供は、今でこそ控え選手だけれど、彼が子供の頃から常に野球の才能を有望視されていた尾崎というプロ野球選手。

だから、彼は、自分と尾崎選手を比較して、母親に対して「本当だったら、もっと優秀な息子を持てたかもしれないのに。」という申し訳ない気持ちを持っている。

母親はそのことを知らない。彼は母親が好きだから、その本当の息子である尾崎を異常なほどに応援する。

そこに、彼の仕事の先輩・黒澤やガールフレンドが絡んで、万年控えの尾崎をバッターボックスにひっぱりださせ、そして、ここ一番の場面で尾崎は。。。

そうなるだろうなと思った流れでも、やはりそうなることは感動的で、非常にいいお話でした。

なんか判る。子供が母親に褒めてもらいたい、よく出来たね、と言われたくて頑張るのだけれど、うまくいかなくてガッカリしてしまう気持ち。この今村と母親の関係がとっても微笑ましくて、またホロリなのです。

タイトルの「ポテチ」。これは、彼のガールフレンドが、コンソメ味食べたいと言ったのに、間違って塩味を食べてしまい、はじめはご機嫌ナナメだったけれど、「コンソメ味が良かったけれど、塩味は塩味で食べてみるといいもんだね。間違えてかえって良かった」というところから来ているのでしょうね。

ポテチのコンソメと塩の取り違いは、今村と尾崎の取り違い。でも結果オーライじゃん。ってことでしょう。

久しぶりに伊坂幸太郎の本を読んで、ずっと前に「死神の精度」を読んだ時に感じた、<ぶっきらぼうで淡々、だけど温かい>という彼の本の空気を思い出しました。

アマゾンのレビューに、この本を読むには、「重力ピエロ」「ラッシュライフ」「オーデュボンの祈り」を読んでおくとなおよしとありました。逆になってしまいましたが、早速読んでみようと思っています。

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2007.04.18

イツモ。イツマデモ。

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実家に帰った時、バス待ちのために、駅ビルの本屋でたまたま手に取った本。

ページをパラパラとめくり、1つのワードに惹かれて購入しました。

 Play Earth, Pray Peace.

高橋歩・著「イツモ。イツマデモ。」の中の言葉です。

私はこの方を知らなくて、Webで探したら、職業=自由人、と書かれていました。

ご本人のHPをアクセスしたところ、ただいまインド放浪中、とのこと。

本については、サブタイトルに「I Love You Always & Forever」とあるように、高橋さんのさわやかなフォトと、高橋さんと奥様のさやかさんとの日々を綴ったものです。

高橋さんの心のままに綴られた言葉を、素直にいいなぁと思うと共に、それぞれのテーマとなるワードたちを声に出して読んでみると不思議にあたたかな気持ちになります。

  Family & Friends Save my Life.

  Ring

  Family Tree

  Double Fantasy

  All is One.

他にも素敵なワードたちがあるのだけれど、特に選んだのは、One ではできないワードたち。

家族がいて友達がいて、家族の輪が繋がっていて、二人で見る夢、そして、自分のそばにいる人をしあわせにすることからはじめよう、ということ。

で、冒頭の、

 Play Earth, Pray Peace.

直訳すると、地球を遊ぼう。平和を祈ろう。なのだけれども、本の中にはもっと素敵な言葉が書かれています。

そして、My Lifetime

人生のtermを定義して、人生の終了をイメージする。今生きている時間を人生の残り時間として、残り日数を明確にしてどう使っていくかをちゃんと考えるということ。

読みながら結構シビアに考えた。そうすると、Play Earth なんだなぁ。。。

ありふれた日常にこそしあわせがある。だから毎日を楽しく丁寧に過ごしていこう、そんなふうに感じさせてくれる本です。

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2007.04.10

食いしん坊のためのおいしい詩集

Img_6588_2 私は料理本の類をほとんど買いません。

一度眺めれば十分という感じで、興味が無いのです。

だから、母から教わった料理、冷蔵庫の中の素材でできる料理、外で食べた料理を自己流で、ファッション誌等の雑誌で紹介された料理(メモしないので記憶が頼り)等、作るのはそんな料理です。

そんな私が持っている唯一のお料理本。それが、長田弘の詩集「食卓一期一会」なのです。

詩集なので、お料理本と書いてしまうのはかなり語弊がありますが。。。

お料理本は写真を見て「美味しそう」でおしまいなのだけれども、詩は、読んで五感全体を使ってイメージさせる。だから、そこにある言葉のチカラはすごいのです。

扉の後ろにこんなふうに書かれています。

 一期一会は食卓にあり。

 人生とは - 誰と食卓を共にするかということだ。

 人生を、急がずに、たっぷりと味わいたい。「言葉のダシのとりかた」「包丁のつかいかた」「おいしい魚の選びかた」「天丼の食べかた」「ドーナッツの秘密」「アイスバインのつくりかた」「アレクシズ・ゾルバのスープ」etc。全篇すべて食べもののうた!詩という言葉の料理をとおして、歯ごたえのある日々の悦びを、食卓に贈る。」

これを読んだだけで幸福な気持ちになるでしょう?

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例えば、絶望のスパゲッティ。スパゲッティ・ディスペラート

 どこにも1コの望みもみつからない

 平凡な一日をなぐさめてくれる

 すばらしい絶望。

実際この通りに作っても絶対に美味しく出来ると思う。

扉の後ろに書かれていたように、<食卓>とは誰かと共にするものなんですよね。

それは、家族だったり、恋人だったり、密やかな関係の異性だったり、と親密な人たち。

親密な人たちとの親密な時間を共有する場所。それが食卓。

そこにまつわる詩がたくさん詰まった、食いしん坊がしあわせな気持ちになれる詩集。

ボナペティ!

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2007.04.09

重松清「きみの友だち」

Img_5549_1 レビューをちゃんと書いておこうと思って読み返しました。

先週、先々週と休日は午前にお花見散歩、午後は疲れて自宅で午睡か読書。そんな日課だったので、読書の時間はたっぷりあったのでした。

 重松清 「きみの友だち」

作者がこの本で書いている世界が、今の子供たちの本当の世界よりも厳しいのかそうでもないのかはわかりません。

けれども、子供たちは大変な世界に生きているのだなと思いました。

はずす、はずされる。とばす、とばされる。戦争、同盟。

いじめはいつ誰にでも起こりうること。時々NHKなどでも特別番組の企画がされています。「野ブタをプロデュース」もいじめでした。

今日は人気者でも、明日はいじめの対象になってしまうのかもしれない。

不安な中で、目立たないように、嫌われないように、<みんな>の顔色をうかがいながら、とにかくやりすごす。

この本の主人公は、あることがきっかけで足を悪くして、友達だと思っていた子たちと疎遠になってしまった恵美ちゃんという女の子。

彼女を中心に、弟や弟の友達、彼女の友達やクラスメートのそれぞれにスポットが当てられてお話が進行していきます。

そしてラストで、この話を第三者の視点で展開しているのは、今では大人になった恵美ちゃんから昔の話を聞き、それを小説にした彼女の婚約者だったことがわかります。

彼女の婚約者が作者と重なります。その優しい視線があるからお話全体がとてもあたたかい。

彼女のたったひとりの友達は、生まれつき病気で、中学を卒業することなく死んでしまった由香ちゃんという女の子。

<みんな>を相手にしているうちは、それは<ともだち>ではない。<みんな>から<だれか>に変わったならば、それが<ともだち>。

恵美ちゃんが、<みんな>に好かれることが大切だと思っている女の子に、

 いなくなっても一生忘れない友だちが、一人、いればいい。一生忘れたくないから、たくさん思い出、ほしい。だから・・・『みんな』に付き合っている暇なんてない。

という言葉が重い。

この本は<ともだち>について、ひとつの解を示してくれていると思います。

新学期がはじまりました。

進級、クラス替え、新しい友だち。

一生忘れられない友達を、たくさんの思い出を、作って欲しいなと思っています。

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2007.04.06

花のまわりに

Flower1

長田弘「まだ失われていないもの」

 何かがちがってくる。
 風があつまってくる。
 陽差しがあつまってきて、
 やわらかな影が、そこに集まる。

 見えないものがあつまってくる。
 ふと、騒がしさが遠のいて、
 それから、音もなく
 明るい塵があつまってくる。

 すべてがそこにあつまってくる。
 花のまわりにあつまってくる。
 ふしぎだ、花は。
 すべてを、花のまわりにあつめる。

 匂いのように、時間が
 蜜のように、沈黙が
 あつまってくる。
 ことばをもたない真実がある。

 空の色、季節の息があつまってくる。
 花がそこにある。それだけで
 ちがってくる。ひとは
 もっと率直に生きていいのだ。

詩集「黙されたことば」より。詩人、長田弘の詩です。

先日「街に花を」を書いた時に、コメントをいただいた方が、「花の街」という素敵な詩を教えてくれました。だから私も花にまつわる好きな詩を。

Flower2_8

透明な明るさにあふれていて、静止した景色の中に微かな風がすーっと吹くような、彼の詩の中でも、特に好きな詩です。

Flower3

昨年の今の時期、淡路島に行った時に撮ったものです。

花博ではじめて訪れて以来好きな場所となっていて、年に最低1回、多くて3回くらい行っています。

こにはいつも花があります。

特に今の時期の花桟敷は、デージーやチューリップ、菜の花などがきれいに咲いているのでしょう。

残念。。。今年は行けそうにないから、丸の内でチューリップ。

深呼吸。さあ、もっと率直に生きてみよう。

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2007.03.13

重松清「送り火」

Img_5533_1読み始めてすぐに、「きっと泣いてしまうだろうな。」と思っていたけれど、案の定、途中から涙が出て止まらなくなりました。

重松清の短編小説集『送り火』の中、タイトルと同じ「送り火」というお話です。

私は、離れて暮らす年老いた父親、母親と、息子または娘、そこに、子の罪悪感めいたエピソードが挿入された話に滅法弱い。「送り火」はまさにそんな話でした。

遊園地の隣のマンションに夢のマイホームを手に入れた3人家族。しかし、父親はローン返済のために無理に働いてある日突然死んでしまう。残された母親と子供。母親は代わって一生懸命働いて、だから子供だった彼女はいつも一人。隣は楽しい遊園地なのに遊園地に行けない。だから遊園地が嫌い、そして日曜日が嫌いになっていた。

そして今、年老いた母親に同居の話をするために訪れた家。そこで彼女は奇妙な体験をする。閉鎖されたはずの夜の遊園地に集まる、もう死んでしまった人たち。そこで彼女は子供だった自分、若かった頃の両親と出会う。そしてそこでの体験を通して、ちゃんと遊園地が好きだったと言えるようになったのだった。

死んだ父親のことを母親と話すくだりで、もうダメ。

お父さんが家族を大事にするというとき、自分は含めていないの。お母さんとあなただけが家族なの。そのために、あんなにがんばって働いたの。

(お母さんも)家族のために美味しいご飯を作るときは、あなたとお父さんのことしか考えていなかったのよ。

そうなんだな。確かに今は、みんなも楽しむ、私も楽しむ、という時代なのかもしれないけれど、家族を思いやる時はきっと私も自分は含めないんじゃないかと思う。古い人間なのかもしれないけれど。。。

あとひとつ、「家路」。家路を急ぐ中、心臓発作で駅のベンチに座ったまま死んでしまい、ずっとそのベンチから離れられない男の霊。彼は、いつも、「帰りたい、帰りたい、、、」と言っている。その彼が、家を出てしまった主人公の男にこんなことを言っています。

家族には『さよなら』という挨拶はしない。わかれるときはいつも『行ってきます』と『行ってらっしゃい』。それを言ったら帰らなきゃ。子供に『さよなら』と言わせてはいけない。。。

そうなんだな。私も、実家に帰ったときは「ただいま」で、東京に戻るときは「行ってきます」だ。でも、お葬式の時は「さよなら」と言って父を送った。

そういえば、「その日のまえに」では、海で打ち上げる花火が初盆で帰ってくる親友や妻のための、迷わずにここに帰っておいでという<迎え火>でした。この本も号泣。

そして「送り火」は、遊園地の観覧車の避雷針が、道に迷わずに帰るんだよという<送り火>になっていました。

重松さんの本を読むと、普段は心のずっとずっと深いところで気づかないようにしているノスタルジーが刺激されて、それがふわりと浮き上がってくる。そんなノスタルジーを感じて涙が流れるのも時にはいいのかな、と思うのです。

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2007.01.13

千の風になって

Img_5169_1 まだ聴いていませんが、テノール歌手・秋川雅史さんが歌う「千の風になって」がヒットしているそうです。

1/11付のオリコン・デイリーチャートでは、1位でした。ビックリです。

私、この方は存じませんでした。昨年の紅白でも歌ったのだそうですね。

でも、新井満さんの本「千の風になって」は知っていました。作者不明の英語詩を、新井満さんが日本語詩にしたものです。

購入した本の帯には、9・11米国同時多発テロで父親を亡くした11歳の少女が一周忌で朗読したり、IRAのテロで命を落とした24歳の青年が自分が死んだときに開封して欲しいと両親に託した手紙の中にこの詩が入っていたり、マリリン・モンローの25回忌に朗読されたりした、と書かれていました。

ずっと、読み継がれてきた詩なのだそうです。

千の風になって / 原詩:作者不明,日本語詩:新井満

著作権の関係で詩を記載することはできませんが、いい詩だと思います。

 お墓には私は眠ってはいない。私は死んでいない。

 私は千の風になって大空を吹きわたっているの。

 だから、私のお墓の前で泣かないで。。。。

そういう詩です。

<死>は終わりではないんだと思うと、少しは悲しみが和らぐのだと思います。

死んでしまった大切な人は、風になって大きな空をかけめぐっていたり、ちゃんと私のそばで私を見守っていてくれると思うと、なぐさめられるというか、心強いというか。。

だから私は実家に帰ってからまた東京に戻るたびに、家を出る時に「守ってね」と心の中でつぶやきます。それは、心のよりどころのようなもの。

千の風になって、今どこにいるのでしょう。。。

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2007.01.06

キーワードは「イノベーション」

今年のビジネス戦略のキーワードは「イノベーション」なのだそうです。技術革新。ものづくりの会社としては当然といえば当然のことかもしれません。

Img_5139_1 『マーケティング2.0』を借りたお礼にということで、上司が『ゴールドラッシュの「超」ビジネスモデル』(野口悠紀雄・著)という本を貸してくれたので、年末年始休暇を利用して読んでみました。

分厚い本なので、勧めどおり1章をちゃんと。そして2章以降は流し読み。

そこから得た教訓は、以下の2点。

その1:人は情報に対価を払わない

その2:ゴールドラッシュ。成功者は金を掘らなかった

著者はITを「21世紀のゴールドラッシュ」と言っています。それは、ITが「誰にも使えて規制のない新技術が、カリフォルニアのゴールドラッシュと同じ性質を持っている」からなのだそうです。

確かに、インターネットを1つの例としてみても、そこには規制が無く、ネットワーク接続ができるPCとブラウザさえあれば、誰でも簡単にインターネット上の情報を使うことができるし、起業することだって容易。

ウェッブ上の情報は玉石混合。だから、人はそれに対して対価を支払う意志が皆無であると言ってもいい。私もそう。有料サービスはよほどのことが無いと使いません。

そんな環境では、金を掘って対価を得るのではないことと同じで、情報に対価を求めるのではなく、そこに供給する何かで対価を得ることを考えなければならない。

Googleはそれを一番成功させたビジネスモデルです。検索サービスが無くなったら、手足をもがれたようなもの。何もできないでしょう。

Googleは検索エンジンやサービスは無料で提供し(人々が検索エンジンを使う環境を広く提供し)、そこに掲示される広告から対価を得るというビジネスモデルを成功させました。

検索連動広告の成長はいつまでも続かないと言われて数年経ちますが、広告モデル以外の収益モデルはいまだに成功していません。果たして、このままずっと広告モデルなのでしょうか。。。

最後に、新しいサービスを考えるにおいてもうひとつ大切なこと。

それは、追いつこうとするのではなく自らルールを変えていくといった考え方に立つこと。

環境は常に変わりつつあるのだから、それに敏となって変化を捉えて先に行くような要素技術を開発すること。このことは、冒頭の「イノベーション」にもつながっていきます。

これが今年の私の大きな課題。今年ずっと考え続けていくのでしょう。さて、来週から気合いを入れなければ。。

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2006.10.25

感動の秋・重松清「その日のまえに」

先日アマゾンで買った本、重松清3冊。少し時間ができたので読み始めました。

Img_40091_1 「その日のまえに」

週末、一気に読みました。

日曜日はとても外出できる顔ではありませんでした。。。

この本、タイトル通りに、その日を前にした人たち、かつての友達、親子、夫婦などのその日までの物語。そしてその日が来て、その日の後に個々のお話がちゃんとひとつになって、それがなんともいえない暖かい感動につながっていくのです。

ここに登場するその日を迎える人は、みんな自分の残りの時間の告知を受けた人たち。

残りの時間を、かつて自分がいた場所を訪れたり、残していく人たちのためにつかったり。そうしてその日を迎える準備をしていきます。

告知の是非はあるけれど、残りの時間が限られているならば、ちゃんとそれを伝えて、その人がその日の準備をすることをサポートすることが残される人にできることだと、この本を読んだ後に思いました。

亡くなった父には本当の病名と残りの時間は告げていませんでした。強がって威張っているけれど、本当はあまり強くない人だからやめて欲しい、という母の願いでした。

その時の母の判断は間違っていなかったと思うけれど、ちゃんと告知していたら父の残りの時間の過ごし方はどうだったろうと思うことがあります。

自暴自棄になったかもしれないけれど、やがて諦念の時がきて、そしてその日の準備をしたのではないかな、と。でもそれはわかりません。。。

この世の中に1つだけ確かなことは、人はいつかは死ぬことだけだ、と何かで読んだ記憶があります。

人は生まれたときから、その日に向かって生きている。そして多くの人には、その日がいつかはわからない。

病気になってしまった人は、普通の人よりもその日を迎えるのが少し早いだけ。

そういえば、大好きな映画「ブレードランナー」のラストに、こんなナレーションがありました。

「ガフは彼女を見逃してくれた 4年しか生きないと思って
 だが彼女の寿命は限られていないのだ
 お互い何年生きるか だれが知ろう」 (完全版・日本語字幕より)

こうして今生きている自分も、その日がいつ来ても後悔がないようにていねいに日々過ごさなきゃいけない。けれども、それは、言葉で言うほど簡単なことではないということを毎日実感しています。

そして、その日がくるまでに、私はどんなことを残していけるのだろう。。。

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2006.10.15

女性の品格

私は未読ですが、藤原正彦著『国家の品格』がヒットしましたね。

Joseinohinkaku坂東真理子著『女性の品格』を読みました。

前書きに、「正義感」、「責任感」、「倫理観」、「勇気」、「誠実」、「友情」、「忍耐力」、「持続力」、「節制心」、「決断力」、「判断力」という言葉が並んでいます。

第1章 マナーと品格
第2章 品格のある言葉と話し方
第3章 品格ある装い
第4章 品格のある暮らし
第5章 品格ある人間関係
第6章 品格のある行動
第7章 品格のある生き方

マナーにはじまり、装い、生き方まで書かれています。

読み終わって思ったのは、ここに書かれていることは人が生きていくうえでの基本だということ。

マナーや話し方、装いは周りの人への思いやりがあってこそ、そして、暮らし、人間関係、行動、生き方は、プライベートや仕事で周囲の人たちとのいい関係を保ちながら己実現をしていくために必要なこと。

約束を守る、時間を守る、挨拶をする、敬語で話す、「ありがとう」と言う、怒りを顔に出さない、家族の愚痴や友人の悪口を言わない、などなど。。。

子供の頃から親に「躾けられてきた」ことだったと気付きました。

また、利害関係が無い人や不遇な人へもちゃんと接する、人が見ていないところで努力する、ユーモアを解する、など、スムーズに仕事をするために心がけていることも書かれていました。

改めて新しいことは書かれていませんでしたが、果たして自分の身についているか?と考えてしまうこともありました。例えば、礼状を書くとか。。。

そうしたことが自然にできる女性になるよう、これから意識して努力していきたいと思っています。

安部晋三首相著「美しい国へ」や前述の「国家の品格」等、国に関する本が出版されていますが、美しい国も、品格のある国も、個人個人に品格があってこそのものだと思います。男性も読んでみられるとよいかと思います。

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2006.05.09

自由訳・般若心経

GWに新井満の「自由訳 般若心経」を読みました。

学生時代に日本史か何かで学んだ「色即是空 空即是色」のアレです。

新聞のコラムで読んで、いつか読んでみたいと思っていました。

Hannyashingyo

<自由訳>とあるので新井満さんの見方で書かれているのですが、とてもわかりやすく、心が洗われるようで、自然に涙が流れました。

観自在菩薩が舎利子に語りかけるかたちで進行します。

中でも、ひとが生まれてきた意味について語るくだりが好きです。

超概略。

「この世にうまれてきたあなたとはいったいどんな存在なのだろう。

それは、あと何年、何時間生きられるかもわからないつかの間の存在。かげろうのようなかわいそうな存在なのだ。

しかし、意味もなくこの世に生まれてきたわけではなく、無数のさまざまな原因と条件が寄り集まって生まれてきたのだ。つまり、生まれる意味があったからこそ生まれてきたのだ。

今生きているあなたとは、奇蹟のような、まことにありがたい存在なのだ。

あなたのいのちと、あなた以外のすべてのいのちに感謝し、敬い、そして、この世に生まれてきた意味を考えなさい。」

それ以来、自分がこの世に生まれてきた意味を考えています。私は何のために生きているのだろう、と。

仕事が忙しいと、こうした精神世界によりどころを求めたりします。

心が敏感になっていて、だから、ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンで合唱で賛美歌を聴いた時非常に感動して、涙が出そうになりました。

ところで、「般若心経」、流行っているのでしょうか。書店で改めて見てみると、こうした般若心経の読み方本が多いのだなぁと思いました。

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2005.09.26

「天国はまだ遠く」瀬尾まいこ

tengokuhamadatooku 最近読書づいています。これも買っておいて読まずにいた本の1つです。

仕事に行き詰った23歳のOL・千鶴が自殺しようと知らない山里深くに旅する。しかし、自殺に失敗(睡眠薬では死ねなかった)。民宿の暮らし、山里の暮らしの中で癒され、元の生活に戻る力(生きる力)を取り戻すまで。その心理的な変化を描いた作品。

共感はできたけれども、感動は無かったかな。。自分自身癒されるということも無くて、ふーん、という感じですーっと読んでしまった作品でした。

きっと違う状況、例えば私がもっと若くて、仕事で悩んでいたりという時に読んでいたら、もっと「うんうん、そうだね」と共感できたのだと思います。読書もタイミングが重要なのだなと思います。

しかし、仕事やしがらみを忘れて、居心地がいい場所にずっといたいという気持ちはよくわかります。自然やそこで出会ったひとたちの中で癒されていくというものわかります。

私が旅するのも、きっ同じだと思うから。私も、仕事や私事で悩んだ時には、よく旅に出ていたもの。一時的な現実逃避。今はそれが必要なんだからと、自分を許して。それも、大人になったからできるようになったことのひとつでもあります。

そして、旅に出てそこの空気が自分の肌に合うと、ずっとここにいられたらいいな、と思うことは誰にもあること。でも、そこは自分の本当の場所ではないのですよね。彼女もそれに気付いて(強くなって)、自分が元いた場所に戻っていきます。

彼女が戻った場所が彼女の本当の居場所かどうかはわからない。本当の居場所は、やはり民宿たむらの田村さんのところかもしれない。本では含みを持たせて終わるけれど、それはわからない。結局は、生きていくということは自分の居場所探しなのかなと思います。

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