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2009.09.30

連休読書「雲を掴め」

シルバーウィーク中に読んだ本のレビューを少しずつ。

伊集院丈・著「雲を掴め -富士通・IBMの秘密交渉-」

R0012648


某セミナーに行った時に、米国企業との交渉術の指南本として講師が話していた。今の時代、一社で全てを行うことは無に等しい。だから、国内、海外の企業との提携、連携が必要になる。その時の条件をいかにして自社優位に運ぶか。そんなことを考えていた時だけに、興味を持った。

この本には、富士通のIBM互換機開発とそれを良しとしないIBMの間に起こった、1982年からの富士通とIBMの秘密交渉について、フィクションの形をとりながら、他国の大企業との駆け引き、ぎりぎりの交渉が語られている。筆者は、鳴戸道郎氏。富士通側の中心人物の一人としてこの紛争に関わり、IBMとの交渉・訴訟に取組んできた方だそうだ。

自社にとって何が最重要課題なのかを見極め、ただその1点にこだわり解決するために、多角度から検討し、裏付けを取り、相手と交渉する。ほぼ妥結した後でも、最後に往生際の悪さを発揮して相手から好条件を引き出す。交渉役はその時だけを考えるのではなく、常に今やっていることの先、さらに先を見据えて選択肢、アクションを考え続ける。

でもこれって、そんなタフな場面でなくても、通常のビジネスでもマネジメントする者にとって求められるアクションだと思う。この本は、こうあるべき的な上から目線のビジネス本やe-Learningのテクニック集よりも、多くの気づきを与えてくれた。

本の中では、筆者が自身の経験から学んだ交渉技術について書かれている。先の講師は、これをノートに貼って、米国企業との交渉に臨んだそうだ。

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◎脅しの技術
 (1)恫喝 (2)脅威 (3)執拗な脅威

◎籠絡の技術

◎交渉役の適性
 (1)人に好かれたい人は不向き (2)自己顕示欲が強い人は不適 (3)非情であれ

◎交渉の駆け引き
 (1)交渉中、相手からのメモは受け取らない (2)相手の自由度を奪え

◎合意文書
 (1)ドラフトを作ったほうが断然有利 (2)ワーディングを争え
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また、この本の中には、富士通側のロバート・ゴードン弁護士の言葉として、交渉で一番重要なことは「公明正大(fairness)」と言っている。公平かつ衡平(fair&equitable)であるべきと。しかし、この時のIBMは、このequitableに欠けていることを承知で過大な要求をしている、だから、着地点(海外販売を諦めること)で合意することは間違っている、もっと戦うべきだと筆者に言っている。

この選択の正否はこの後でわかっていくことになるのだが、その時の、会社を潰さない=国内営業を守るという一点で戦った(戦わざるをえなかった)ことは、そのことは間違ったことではなかったのだろう。

この本の続きとしては、この後のことを描いた「雲の果てに」がある。レビューを読むとこちらも興味深いので読んでみたい。

今はクラウドの時代だ。そう、あまねくものが雲の中に存在し、利用者はそこにアクセスすれば好きな時に好きなだけのサービスを利用することができる。雲を掴もうとした富士通。しかし、今、雲の中にはIBMとは違うあまたの相手がうごめいている。Googleしかり、amazonしかり。。さて、さらなる戦いは?

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