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2005.06.30

生誕100年 入江泰吉の写真世界

奈良の旅、第四回目。2日目は入江泰吉(いりえたいきち)の写真を見に、奈良市写真美術館へ。

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日経新聞で彼の写真を見て、その大和路の和歌のような写真に惹かれてこの旅を決めたのでした。

入江泰吉氏は奈良に生まれ、奈良に暮らし、ほぼ半世紀にわたって奈良・大和路の風物を撮り続けた写真家です。奈良市写真美術館は、氏が全作品を奈良市に寄贈したのをきっかけに、平成4年4月に開設されたそうです。黒川紀章氏設計の仏堂風の造りの外観。1階はガラス張りのロビーと資料スペース、展示室は地下にあります。

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「○○展」というと東京では大勢の人。それを予測して開館の9:30に到着したのですが、私の前には2組のみ。その後も私の後にも数組。意気込んでいったのに拍子抜けでしたが、おかげで人の動きを気にせずにしっかりと作品を見て、感じることができました。

展示は、氏が写真を撮り始めるきっかけとなった「文楽」にはじまり、1955~60年頃の白黒写真。そして、1965~80年頃のカラー写真へと続いていきます。

一貫しているのは、奈良・大和路を単なる風景写真ではなく、かつて古のひとびとがそこに存在していた気配を撮影していることです。多分、私はその気配を感じ、同じ日本人として呼応したのでしょう。いくつもの写真の前で立ち止まり、過去に想いをめぐらせたのでした。

思った瞬間が訪れるまで、待ち続けただろう写真がたくさんありました。今では絶対に見ることができない景色がたくさんありました。それは、60年代の高度経済成長の陰で失われたものたちの記録でもあります。便利さとひきかえに私たちが手放した美しくて弱いものたち。

 今日一日精いっぱい働く

 又明日につながる

 今日一日精いっぱい生きて明日につながる

 生きることの事実がわかって来た

 そういうことを感じる

 仕事をしていると時を忘れる

 無理はいけない

これは、入江泰吉写真集『回想の大和路』にあった氏の言葉です。奥様が、葉書の隅に乱れ書きで書いたものを見つけたそうです。大和路を愛し、精力的に仕事をされた方です。パンフレットによると奈良市写真博物館には、約8万点に及ぶ入江作品の大半がフィルム(カラー6万点、モノクロ2万点)で収蔵されているそうです。展示替えに合わせて、また訪れたいと思っています。

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